「司会」

葬儀ナレーションの一例④

お花畑の妹

一足早く、春が訪れたようなお花に囲まれて、
いつもの笑顔で微笑む○○様。

このお花畑のように、明るくて可愛い妹なんですよ。と、
喪主であるお兄様がおっしゃられます。

底抜けに明るく、天真爛漫・・・。
自立心旺盛で、とっても頑張り屋さん。

耳の不自由さを、努力で克服され、まさに有言実行!
洋裁で身を立てるんだ!と、夢を叶え、頑張ってこられました。

本日、喪主様がお召しになっていらっしゃるスーツも、
実は○○様が、お兄様の為に仕立てられたと、お伺いいたしました。
ひと針、ひと針、着る方の想いに応えるようにミシンを踏み、
しつけ糸をかける○○様。

この着心地と、仕立ては、着てみないとわからないだろうな。
私は妹が仕立ててくれたスーツを着ることができて、幸せだよ。』
と、お兄様はちょっぴり自慢のお顔で妹様のお話をしてくださいます。

日々の中にも、お友達の輪をひろげ、
趣味の旅行は、日本を始め海外にまで足を延ばされます。
日常生活の小さな幸せを、とても大切に楽しんで、暮らしていらっしゃいました。

妹は生まれた時から、耳が不自由でいじめられた時もありました。
しかし、妹はどんな時でも明るくいてくれました。
その笑顔が何よりの私の支えです。
私の妹でいてくれてありがとう。

お兄様からのお言葉でございます。

先天性視聴覚障害をもって産まれてきた妹さま。
喪主様(故人のお兄様)は、小学生の時に障害を持つ妹のことをからかわれ、疎ましいと思ったこともあり、冷たくしたこともあったとお話してくださいました。
「でも、どんな時にも底抜けの明るい笑顔の妹を見る度に、自分の人間としての小ささに恥ずかしさを感じました。」
今は多様性の時代で生きやすくなったかもしれません。
もっと早く、人の価値を認め合える時代がくれば、少しはイジメもなくなるかもしれません。

 

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