葬儀文例

人のために奉仕する生き方

青く高く澄み渡る秋の空。
遠くから聞こえる笛の音。
今日はみんなが楽しみにしていた秋祭り。

この秋祭りの賑やかさも、〇〇さんのおかげ。
村がこんなに発展したのも、〇〇さんのおかげ。
村祭りの日に逝くのも、〇〇さんらしい逝き方だね・・・。

大正〇年〇月〇日、この地で生を受けられました。
良きご縁と家族に恵まれ、
そして、多くのご友人に背中を押されるように、
昭和〇年から、村議会議員として
村政の立て直し、教育や産業の推進開発に、20年間尽くしてこられました。

また、戦時中より農業の振興に尽くし、農業協同組合理事を務められました。
農業の改革をはじめ、地域貢献、寺総代としてもご活躍。

何事にも熱心に、ひたむきに努力されるお姿は、
多くの皆様の指針となりましたが、
〇〇様自身は決して驕ることなく、努力を怠ることはありませんでした。

他人のために奉仕すること。
それは一生涯貫いた○○様の生き方。

「〇〇さんの生き方から私たちは学びました。ありがとうございました。」
皆様からの感謝のお言葉でございます。

誓う約束はいつまでも胸の奥へ。
紡がれていく命の継承。
心安らかに、我らの行く末を見守り給え・・・。

ナレーターの追記

この文章は約20年前のナレーションで、故人様は大正生まれの方です。そして今は、ほとんど施行されなくなった自宅葬でした。故人様は長年、お寺の総代として地域の行事ごとや、秋のお祭りに関わってこられたそうです。ご高齢のお子様に代わり、喪主はお孫様が務められました。「○○さん、ありがとう。」「本当に良くしてもらった・・・」と皆様が感謝を伝えに自宅に訪れました。喪主であるお孫様は、とても立派におもてなしをされ、おじいさまのお葬式を整えることに心を尽くしていらっしゃいました。
喪主様がおっしゃった、人のために尽くす生き方というのは、最後の最期に自分に返ってくるんですね。この言葉がとても印象的でした。

岡野 裕子

 

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